目に見えない何かを想うのが、私は大好きです。
サイトに遊びに来てくださっている方々は知ってるよ、と言いたくなるかもしれませんが((
今回は愛について考えていたときに書いたものです。
うっわベタw
吐き気を感じる危険性がありますので覚悟できたら読んでみてくださいー!
ある日、王子様は夢を見ました。魚と再会する夢です。 次の日もその次の日も、魚の夢を見ました。そのうち、王子様は気付きました。 その日を境に、ぱたりと、その夢を見なくなりました。夢を夢見て、現実を見ずに、それでも王子様は王様になり、お姫様と結婚し、彼女は子を授かりました。 「僕の名は、」魚はそっと言いました。「僕の名は、"愛"。愛おしむ、心」 遠くで産声が上がって、王様は目を開けました。どうもうつらうつらしていたようでした。 愛する者に会いに行く為に、王様は涙を拭いて、立ち上がりました。
王子様はいつも一人でした。彼の友達は、昔死んでしまった一匹の魚だけでした。
魚の命は長くありません。王子様がまだ幼い時に、彼と出会い、また彼と仲良くなり、そして別れたのです。
魚が死んだ日、王子様は幼馴染みのお姫様に言って、魚を用意させました。付き人に頼むには、馬鹿げていると思ったからです。
しかし魚を持ってきてくれた彼女に、彼はそれを突き返しました。
「僕は、あの魚を持ってこいと言ったんだ!」。
お姫様は哀しそうに微笑むだけでした。王子様は馬鹿にされていると思って、誰にも心を開かなくなりました。
昔の話です。
魚は言いました。「こんばんは、王子様」
「久しぶり過ぎるよ、僕はもうすぐ王様だ。それでも、僕の事を忘れないでいてくれていたのかい?」
「忘れるなんて以っての外。だって、僕はいつも君の傍にいたじゃないか」
魚はおかしな事を言います。その日の夢は、それで終わりでした。
「僕は君がたった一人の友達だったから、君とのいろんなことを覚えている」
「僕もだ、王子様」
「それなのに一つ、思い出せないことがあって。どうしても思い出せないことが」
「何のことだろう」
「それは、――君の名前だ」
それを聞いて、魚は笑いました。「仕方がない。当たり前といえば当たり前のことだ」
無感情でいる王様を余所に、隣の部屋で、彼の子が産まれようとしていました。
それでも彼は夢を追い掛けます。それが叶ったのは、ふと意識が消えかけた時でした。
魚は笑っています。「おめでとう、君ももう親となるのか」
「魚よ、どうしても聞きたいことがあった」
「名のことか?」
「そうだ」
そして彼は気付くのです。
自分がどれだけ、妻を愛していたかを。どれだけ子を愛そうとしているかを。寝る間を惜しむほど、我が子の無事を願っていたのかを。
彼に、お前は一人でないと、その愛を教えてくれたものを、彼はもう思い出すことができませんでした。