忍者ブログ

Symmetry

サイト関連、その他いろいろ。古いのハズイので見ないで 20100923~

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

愛と死


 相も変わらずおかしなものが書けたので投下。
 一応テスト一週間前ですがそんな現実は無視して現実逃避します。

 少し病んでるのでご注意を。不快感を与える内容の恐れあり。
 
 殺人犯と被害者。
  伝わらなかった愛は、死を隔てて繋がった。
 要は片想いだと思ってたら両想いだった、と。

 そんな話です。

  

 記憶にある彼女は、いつも笑顔を絶やさないでいた。

 彼は思う。隠すための笑顔はいらない。本物の彼女が見たい。

 彼女をもっと、知れたらいいのに。

 

 記憶にある彼は、いつだって何処か孤独だった。

 他人に心を許さず、自分を高く築く。

 愛想笑いばかりの自分には、到底及ばない存在だった。

 

*

 ある日、一人の少年は光の届かぬ檻に閉じ込められた。

 少年は首を傾げる。「人を愛することは罪なのか」。

 声には誰も答えず、コンクリートの壁に当たって消えた。

 

 さらに歳月の経ったある日、少年は空の下に出た。

 眩しい光に目を細めて、彼は彼女を想った。

「この世界から、解放させて」と泣きながら言った、彼女を。

 

 「愛想笑いだろう?疲れないのか」

 

「疲れる。最期にはちゃんと、笑いたい」

 

 見下ろすと、檻の中には自分がいた。もう地上には用はない、と彼はただ上を目指す。

 ただ、彼女の最期の表情が、目に焼きついて離れない。

 悔やんでる?恨んでる?「感謝、してる」

 笑みが零れた。――どっちだっていい。愛想笑いは、もう見飽きていた。君には似合わない。

 

 戻れないであろう世界を見遣ってから、扉を開く。

 重いそれが軋んだ。光に包まれて、白い階段が続いていた。

 

 

 そっと手を伸ばす。そうして、彼女の白い陶器のような頬を撫でた。

 やっと触れられた。いつかの望みに。やっと届いた。

 

「人を愛することは、罪なのか」

 何処からか、雫が落ちた。あたたかい雫は指を伝う。

「君を愛することは、罪なのか」

 

「…誰が罪と言おうとも」彼女は笑った。きっと、心からの笑顔だ。

「わたしは好き。愛と死は同義だと、あなたが教えてくれたから」

 

 

 痛みと苦しみの、歪んだ共有と理解。そこから生まれる尊いものたち。

 常人には理解されなくとも、お互いが分かり合えるなら。

 

――誰にも知られぬ、彼らの想いは此処にある。

 


拍手[0回]

PR

Comment

Form

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

Trackback

この記事にトラックバックする

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新TB

ブログ内検索

最古記事

(09/23)
(09/26)
(10/10)
(10/10)
(10/12)

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]