相も変わらずおかしなものが書けたので投下。
一応テスト一週間前ですがそんな現実は無視して現実逃避します。
少し病んでるのでご注意を。不快感を与える内容の恐れあり。
殺人犯と被害者。
伝わらなかった愛は、死を隔てて繋がった。
要は片想いだと思ってたら両想いだった、と。
そんな話です。
記憶にある彼女は、いつも笑顔を絶やさないでいた。 彼は思う。隠すための笑顔はいらない。本物の彼女が見たい。 彼女をもっと、知れたらいいのに。 記憶にある彼は、いつだって何処か孤独だった。 他人に心を許さず、自分を高く築く。 愛想笑いばかりの自分には、到底及ばない存在だった。 * ある日、一人の少年は光の届かぬ檻に閉じ込められた。 少年は首を傾げる。「人を愛することは罪なのか」。 声には誰も答えず、コンクリートの壁に当たって消えた。 さらに歳月の経ったある日、少年は空の下に出た。 眩しい光に目を細めて、彼は彼女を想った。 「この世界から、解放させて」と泣きながら言った、彼女を。 「愛想笑いだろう?疲れないのか」 「疲れる。最期にはちゃんと、笑いたい」 見下ろすと、檻の中には自分がいた。もう地上には用はない、と彼はただ上を目指す。 ただ、彼女の最期の表情が、目に焼きついて離れない。 悔やんでる?恨んでる?「感謝、してる」 笑みが零れた。――どっちだっていい。愛想笑いは、もう見飽きていた。君には似合わない。 戻れないであろう世界を見遣ってから、扉を開く。 重いそれが軋んだ。光に包まれて、白い階段が続いていた。 そっと手を伸ばす。そうして、彼女の白い陶器のような頬を撫でた。 やっと触れられた。いつかの望みに。やっと届いた。 「人を愛することは、罪なのか」 何処からか、雫が落ちた。あたたかい雫は指を伝う。 「君を愛することは、罪なのか」 「…誰が罪と言おうとも」彼女は笑った。きっと、心からの笑顔だ。 「わたしは好き。愛と死は同義だと、あなたが教えてくれたから」 痛みと苦しみの、歪んだ共有と理解。そこから生まれる尊いものたち。 常人には理解されなくとも、お互いが分かり合えるなら。 ――誰にも知られぬ、彼らの想いは此処にある。